自己破産とは、借金などの債務が返済不可能な額まで増えてしまった際に裁判所を通して支払いの義務を免除してもらう手続きのことです。
裁判所に破産申立書という書類を提出して免除が許可されると、税金や養育費といった非免責債権を除いたすべての借金をゼロにすることができます。
自己破産をすると借金の返済義務はなくなりますが、自分の財産はどうなるのでしょうか。
今回の記事では、自己破産した場合、財産はどうなるのかについて解説していきたいと思います。
自己破産すると財産はどうなる?換価処分とは
先程述べたように、自己破産をすると借金の支払い義務が免除され、債権者や国税庁からの給料や財産の差し押さえといった強制執行もされなくなります。
しかし、それと引き換えに、現在所有している高額な現金や預金、家や車、宝石や美術品のような高価な貴重品といった財産は処分されてしまいます。
これを換価処分と呼びます。
換価処分の対象となるのは、99万円を超える現金、家や土地などの不動産、時価20万円以上の価値のあるものとなります。
さらに、自己破産したことが金融事故情報として登録されてしまいます。
俗に「ブラックリスト」と呼ばれるものです。
この情報は金融業者も共有しているので、自己破産後約10年間は新たな借り入れやクレジットカードの新規作成がほぼ不可能になります。
その他にも、移住移転を制限されるなど、自己破産すると様々な制限が課せられることになります。
自己破産すると財産はどうなる?自由財産とは
自己破産をした際に財産を処分される換価処分についてはすでに触れました。
しかしながら、自己破産をしたからといってすべての財産が失われるわけではありません。
換価処分の対象にならない財産は自由財産と呼ばれ、手元に残ることになります。
自由財産となるのは、家具や家電、衣類などといった日常生活に必要となるもののほか、処分する費用の方が高額になる換金価値のないものとなります。
また、換価処分の対象は自己破産した本人の所有物のみとなるので、連帯保証人などになっていない限り、破産者と同居する家族のものは差し押さえられることはありません。
さらに、自己破産した場合、家や車などの財産は換価処分の対象となりますが、自己破産ではなく個人民事再生の手続きをした場合、換価処分の対象外となります。
たとえば、車の場合は、20万円以下の価値の中古車に代替することで換価処分の対象外となります。
まとめ
今回の記事では、自己破産をした際に財産がどのように扱われるのかについて解説いたしました。
自己破産をした場合、99万円を超える現金、家や土地などの不動産、時価20万円以上の価値のある財産は換価処分の対象となりますが、日常生活に必要なものや換金価値のないものは自由財産として手元に残ることになります。
また、自己破産ではなく個人民事再生を選択した場合は、家や車などの財産については換価処分の対象となるのを免れることができます。